BL思考の種

BLlogiaの管理人がだらだら書くBL小説やBL漫画のレビュー

BLだけど妻帯しています。『アラビアン・タブー (ジュネットコミックス ピアスシリーズ)』乙里玲太朗 『愛を棄てた金糸雀 (幻冬舎ルチル文庫)』犬飼のの 『ED王子、はじめての。 (G-Lish comics)』三雲譲 ネタバレレビュー

BLのアラブとか、財閥系とか、中世ファンタジー、中華風ファンタジーなどなど、要らぬものがある。それは受けでも攻めでも妻帯してるのが要らんのです。そして、子供も要らぬ。
個人の萌えではなく、萎えポイントです。

『アラビアン・タブー (ジュネットコミックス ピアスシリーズ)』乙里玲太朗

アラブもの。同級生ものの主従もの。これで奥さん2人で家庭円満なのが辛い。
明るいタッチで全員仲良しで、そのうちの攻めと受けの男同士だけが四六時中一緒で、仕事も何もかも一連托生。
もうね、BLはファンタジーとかの決まり文句で済まない。アラブものだけど、現実を見てます。
王子だから跡継ぎが大事。そんなリアルのために引きこもって子育てする妃たち。専業主婦だって、子どもが大きくなったらイベントに復帰できるのに、変なリアルがあるので、「私と仕事とどっちが大事なの」的な悲しみを見てしまうよね。

『愛を棄てた金糸雀 (幻冬舎ルチル文庫)』犬飼のの

愛を棄てた金糸雀 (幻冬舎ルチル文庫)

愛を棄てた金糸雀 (幻冬舎ルチル文庫)


こちらは中華風ファンタジーといっても近未来な世界観。
皇位継承者第一者、つまり王子×反逆者の息子でボーイズソプラノのまま変声期を迎えた歌手志望の少年。
こちらも出会った時には攻めが妻帯者。
妻帯していても、すでに愛情は冷え切っていたり、無かったり、政略結婚だったりのパターンで、男同士ができあがった後は退場していくパターンは数あれど、未来の国母的な地位のために影だけ見える存在というのは数少ない。「亭主元気で留守がいい」タイプかも。まあ、こっちも子育てが一段落してもイベントには行けそうにありません。

「ああ、子孫が絶えた」

兄弟全員男とできあがったBLのレビューでたまに見かける「子孫が絶えた」の文字ですが、リーマン家庭に育って、受けでも攻めでもリーマンである家だろうと容赦なく投げかけられる。
家制度なんて気にしないサラリーマン、故郷を離れたサラリーマン、集団就職なんて言葉から幾世代。
世間に流されて本当の自分なんて疑問にも思わずヘテロだと疑問にも思わず結婚したらゲイでした、そんなパターンも多くあります。
次男三男同士でできあがるCPには、まず出ない「ああ、子孫が絶えた」の感想。まだ、長男は大変だ。BLの中でも大変だ。
王位継承が気になる世界観では、「BLはファンタジーだから」と言っても、配慮されるんでしょうか?
家制度も結婚制度も崩壊しろというタイプのBL好きには、かなり謎。

『ED王子、はじめての。 (G-Lish comics)』三雲譲

ED王子、はじめての。 (G-Lish comics)

ED王子、はじめての。 (G-Lish comics)


アラブ。ラストの方で受けも攻めも長男で家を継がなければならないことが明らかになります。受けはサラリーマンとして働いていましたが、実は農家の長男だったのです。両親は彼らの代で終わりにしようと思っていたと言っていましたが。農家はシビアだよね、と思わず身近な問題として捉えてしまった。
世継ぎを作るためにED治療に専念する攻めが、王家を出奔して「私の代わりはたくさんいるもの」と受けの家に嫁入りというか、婿入りする潔いラストを迎えた作品もありますね。