BL思考の種

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人魚は愛を謳う ~ドラゴンギルド~ 感想(ネタバレ含む)

2013年デビューの鴇六連さん。骨太なファンタジーを書かれます。
ザ・大人のための残酷童話。今作で3作目になりますが、この本からでも読めるそうです。

竜を束ねる竜結社で目覚めた半人魚のメルヴィネは、記憶を失っていた。だが、初対面のはずの美貌の水竜・サロメはなぜか自分に執着し、執拗に側に置こうとしてくる。傷を負ったメルヴィネを治療と称して何度も組み敷いてくるサロメ。甘い巣に囲われる日々のなか、竜結社に猟奇的事件の調査依頼が来た。その手伝いをきっかけに、メルヴィネは自身の使命を思い出す。それは“サロメをこの手で殺める”ことで…。孤高の水竜×記憶喪失の人魚の運命的恋愛譚!

内容(「BOOK」データベースより)

美貌の水竜サロメ、実に優雅で物腰も柔らかく、優しい性格をしています。問題児が多いドラゴンギルドの中で、シリーズを通してずっと癒し系。
対して受けの雄の人魚メルヴィネは、優しすぎるサロメに迫られながらも、優雅できれいな竜に迫られてちょっと怖いと腰が引き気味。とりあえず、記憶喪失で不安でも、お世話になってるドラゴンギルドでバトラーとしてせっせと働きます。とっても働き者です。
カタパルトに降下してきたドラゴンを防護服を着てデッキブラシでゴシゴシ洗うお仕事シーンは1作目に詳しいですが、ファンタジーとスチームパンクが混ざったような不思議な世界を構築しています。
こういうシーンを思いつくあたり、今までの読書経験とは違う何かを予想させます。

人魚は雌しか居ない設定で、子供を得るために性交をした後は相手を食べてしまうという残酷設定です。
セイレーンの伝説や、人魚の肉を食べると不老不死になる伝承などが、うまくミックスされて、大人のための残酷童話っぷりに深みを与えてます。
メルヴィネが人魚たちに育てられているシーンが冒頭に出てきますが、幼く少女のような振る舞いの彼女たちを「守る対象」として見ているような部分も。
少女のような母親というのは、BL小説で不安定な存在として扱われてきた部分もありますが、ここもポイント。ラストに奪還した母親の骨とメルヴィネの会話から、実は守られていたと思っていたのはメルヴィネの方で、親離れしていく様子が描かれています。
実は親離れできていない息子が母親に諭されて自立するパターンというのは、BL小説ではじめて読みました。多分、まだまだBL小説を多く読んでないからかもしれません。
BL小説の「健全な育成歴から外れて不幸だと感じている」攻めか受けが恋愛で結ばれ、家族から独立するというパターンとは違う。円満な自立というのが面白く、この部分を長く書いてしまった。

DT火竜×魔女。1作目。好きです、DT攻め。シリーズの中で一番ドラゴンをゴシゴシ洗ってる。お仕事描写が楽しい。
t黒猫は蜜月に啼く ?ドラゴンギルド? (角川ルビー文庫)

ドラゴンギルドが結成された話。黒猫のリーゼ君が受け。身体の大きな強い魔女がとにかく印象的だった。

3作目だけ読んでも面白いらしいですが、最初から読むとバトルシーンで他の竜たちやバトラーの働きぶりのわくわくと、鴇六連さんの成長ぶりも楽しめます。