BL思考の種

BLlogiaの管理人がだらだら書くBL小説やBL漫画のレビュー

世界を作るということ 宮緒葵『乳親』

今回は怪作『乳親』です。なんてインパクトのあるタイトルなんでしょ。乳親という言葉は存在しまして、本来は女性が務めるものだと作中でも言及されています。いったいどこからこの言葉を引っ張ってきたのか、タイトル勝ちすぎるでしょ。

 

乳親【イラスト入り】 (ビーボーイデジタルノベルズ)

乳親【イラスト入り】 (ビーボーイデジタルノベルズ)

 

「ちちうえの乳は想像よりも甘うございます」宮緒 葵が「濃厚乳」を引っさげ登場! 敬愛する親友。赤子から育てたその息子。二人から『乳』を求められ…! ラスト1ページまで目が離せない禁断愛をどうぞ。
※本書は電子配信中の「小説ビーボーイ 溺愛しすぎる特集(2017年冬号)」に収録されております。

乳親【イラスト入り】 パラ野さんの感想 - 読書メーター

 宮緒さんの通常運転なら、執着ものとして待てができない番犬ものとして、『渇仰』あたりから1つのジャンルとして安定して突っ走ってるでしょ、と思われる方も多いでしょう。筋書きとしては、執着ものの3Pとして普通の宮緒さんな物語の流れです。

なんで怪作なのかといえば、小説としての完成度が高いんです。江戸時代の時代小説を読まれる方は引っかかる点があるかもしれませんが、論文などで調べた程度の私には「ここまで江戸時代の雰囲気を出せる単語を羅列してエロを描くなんて、この人は真面目に何をしてるんだろう?」とこちらも真顔になるしかありませんでした。

BL小説の時代物をいくつか読んできましたが、ざっと計算したら受けのお付きのばあやよりも攻めの方が若干年嵩であったり、明治60年代というありえないことが起こったり、幕末の土佐藩丸写しとコレラの流行でJINのテーマが頭の中で鳴り響いたり、あと5年も経たずに江戸幕府が崩壊するのに浪人になって道場を開いたらるろ剣に出てくるモブになるしかない未来しか見えなかったり、黒船来航のお土産が地方の小藩の城下町で日常的に披露されていたり、いろんなノイズで小説の世界がぶち壊しになることはよくあります。引っかかったら集中できない。

『乳親』は江戸時代でもどの辺りなのか推測できる描写や歴史学者でも意見が割れる旗本と御家人のあたりなどをうまく避け、小物や建物の作りなどで攻めてきます。濡れ場も、もちろん江戸時代っぽい単語の積み重ねで官能辞典かとツッコミたくなる凄まじさ。濡れ場の激しさは著者特有ではありますが、単語のチョイスでここまで濡れ場の雰囲気が変わるものなのかと目から鱗。

江戸時代の男色といえば衆道で、年上の男が少年を愛で、いつかお家存続にための子作りによって終わり、少年はポイ捨てされるものですが、この作品では受けが三十路を過ぎても終わっていません。成人同士が嫁を迎え子育ての終わりを迎えても続いています。最初はその関係を疑わない描写にいつもの間違いかと思いましたが、違う模様です。作為で「疑問を持たない受け」を作ったのかどうかは知りませんが、この部分が「受けが見たくなかった世界」「攻めにコントロールされた状態で見ていた世界」の2つが混ざり合って灰色の読後感を生みます。女性との絡みもあり、あの子誰の子と謎が残されます。他人として乳親として乳を含ませたあの子(攻め2)は実の子かもしれない。

作中で何度も出てくる「孕み汁」という言葉の存在感。孕ませるために出される汁という生々しさがすごい。男は子供を作ってなんぼと征服して子孫を残す子種という価値観を孕み汁という言葉を異化することで、読み手の中にあるかもしれない絶倫の男のイメージを掘り起こし変容させていく作用があります。濡れ場に使用する言葉だけでどこまでも読みが広がる『乳親』という小説の恐ろしいところです。

単語による異化の積み重ねで小説を成功させるなんて『乳親』はすごいぞ、という話でした。

雄っぱいを寄せて上げてのシーンがインパクトでしたが、やはりここでも性別よりも単語によるジェンダーの異化に成功してて、通常運転でも言葉の違いでこんなにも変わるんだなと感心しきり。

この作品に使われたエネルギーを思うと、作者が雄っぱいにかけた情熱に何してるのか才能の無駄使いと思わざるを得なかった。

挿絵が髷ではないのが雰囲気デストロイでした。丁髷がどうにかなると萌えます。

髷と褌は時代物の萌えアイテム!

BL小説レビューというより、普通の小説の話になってしもうた。

 

近況:刀剣乱舞がんばってます。がんばりすぎて熱中症になったのに気づくのが遅れました。この世は地獄です。

小説を電子に移行したら、やたら目が疲れます。koboなので、読みたいBLが無かったりしますが、kindleに戻る気が全くない辺りで詰みました。

Amazonに独身主義や信仰について差別的発言を繰り返し浴びせられたので、kindleのアプリを見るたびに嫌な気分になってる。異性愛至上主義だし、セクシャリティのカミングアウトをしなければ自分の大切なものを身につけられないのはおかしい。「危機管理だから差別じゃない!」と言い続けるのは狂ってるとしか言いようがないので、もう不買。

オメガバースはSFかファンタジーか5 『ぼくの可愛い妊夫さま』七川琴

オメガバースという言葉が浸透するにつれ、妊娠出産ものという言葉が忘れ去られているような気がする。

やおい時代からある男の妊娠出産ものです。商業BLでは少ない印象です。

  • 攻めが作った薬で受けが妊娠可能になる
  • 受けが突然妊娠可能な体質になる

知っている妊娠出産ものはだいたいこんな感じです。

  • オメガバースの妊娠出産は社会構造
  • 妊娠出産ものはそのCPの偶発的なもの

ざっくりこんな分け方ができそう。いや、分けていこう。歴史だもの。忘れてはいけない。

 

ぼくの可愛い妊夫さま (Splush文庫)

ぼくの可愛い妊夫さま (Splush文庫)

 

太いお注射……してください。

気弱な37歳童貞の産婦人科医、弓削のもとに下腹部からの出血を訴える男がやってきた。屈強な大工の青年、岩本だ。いくら検査しても原因がわからず途方に暮れるが、その症状からある可能性に辿りつく。「正常に機能する卵巣・子宮を持った男性」――MFUU。そんなこととは思いもしない岩本は、産婦人科に回されたことを訝しみ、不安と緊張で苛立っていた。岩本を安心させようと超音波検査を勧める弓削だったが…!?

ぼくの可愛い妊夫さま (Splush文庫) パラ野さんの感想 - 読書メーター

ものすごく作り込まれた架空の妊娠出産できる体、MFUUです。

妊娠出産の上に生理ネタまで入ってます。

攻めの一人称で話が進むので、このジャンルが苦手な人も入りやすいのではないでしょうか。

攻めが受けのために近所のドラッグストアでナプキンを買ったり、受けの生理痛のために腰をさすったり、そんなシーンが出てきます。

あらすじだけでは本当に序盤なので、キワモノ扱いになりやすいですが、ガテン系の男が妊娠したらキャリアはどうなるか、同性も結婚できるが別姓ではなかったら職場でどういう選択をするか、結婚したことを誰に話すかなどの問題をかなり繊細に取り扱ってます。この部分が読み応えがあるので、導入のMFUUだけがクローズアップされてもったいない。

とりあえず、オメガバースと妊娠出産ものは分けていこうよという話と、オメガバースが出てきた後の妊娠出産ものとしての作品として、読んでおきたい一冊です。

別姓が認められない同性婚というのが、日本だと本当にありそうなのが怖いわ。

オメガバースはSFかファンタジーか?4 『蜜惑オメガは恋を知らない』ナツ之えだまめ

ゲームに夢中になると何もできなくなるので、欲望に従うとこうなります。ふゅーじょんぷろだくと以外のオメガバース、特に小説って全部追えてるのかな? 読書メーターにログインしたら知らない新刊で埋め尽くされて浦島太郎の気分です。そもそもオメガバースがSFかファンタジーかなんて問題を立てたのは何でなんだ?

 

 突如オメガ変転した智宏は9歳にしてヒート=激しい発情を覚えてしまう。その後周囲から性的な好奇の目を向けられ傷つき悩むが、高校に入学してアルファの恒星と出会い「高校生活、楽しいほうがいいじゃん」と屈託なく笑う彼に惹かれていく。アルファとオメガであったら誰でも“つがう”ことが出来るのに、二人は無二の親友の道を選ぶが―。

読書メーターに書いたざっとした感想。

蜜惑オメガは恋を知らない (幻冬舎ルチル文庫) パラ野さんの感想 - 読書メーター

 9歳で性に目覚めたとあるオメガが好奇の視線にさらされ、学校に性的な混乱をもたらさないように長野県のオメガの保護施設で2年を過ごし、ネットで見たアルファの画像に惹かれて高校に進学しては、女子との戦いになるという、性をめぐるクロニクルという作風です。

子供を作るだけの「つがい」ははぐれオメガと呼ばれ放浪を続け、最後まで添い遂げる「伴侶」は運命の相手と呼ばれるかなり過酷な世界です。

アルファの方にも伴侶となるオメガを見つけるハンティング機能の有無は血統によるという、異性愛至上主義と血統が結びつくのもなかなか。

ふゅーじょんぷろだくとのような身体の構造やフェロモンの部分などサイエンス・フィクションのように見せる部分は同じなのですが、その社会構造に抗うか従うか、どのように順応するか、その部分はあまりありません。(オメガがベータを愛したら? オメガがアルファを組み敷きたいと思ったら? などなど)

はぐれオメガという性で世の中を乱す、見られる被写体として好き勝手な解釈から逃れ続けたために、心を閉ざし続け、恋愛などには自分に縁の無いものと「修道僧」のように生きてきた智宏が、自分がオメガになったあの日に起こったことを思い出し、恒星が相手だとホッとしてアニマルのように突進していったのは、「異常じゃない正常だ」という安心感が9割だったのではないかと疑う部分もあります。「マジョリティの側に入ってやったぜ!」みたいな社会から弾かれないための手段を手に入れたという安心感。

一応、淡い恋らしきものを攻めの恒星と高校時代に経験しますが、その後は恋愛のための時間を積み重ねることもなく、アニマルにくっつきました。

この世界のアルファとオメガはだいたい本能こそ全て、抗えない、もう伴侶として生きていくしか価値はないというレベルでアニマルです。

性欲と恋を間違えるなよ、などの身体のコントロールなど、BLが長く描いてきた問題なのだと思いますが、エロシーンが少なくても、すごくアニマルでした。

攻めが我慢できるワンコだったのが、余計に受けのアニマル度が高まったような気がします。

行動よりも思考回路がアニマルの場合もある。

『スリーピング・クール・ビューティ』鳥谷しず 明るい母子家庭

新年会という名の小中学校の同窓会を欠席してしまいました。みんなには会いたかったけど、猫が死んでしまったばかりなので、不意に泣いたり不安定だし、じっと猫との思い出に浸ってたかったわけです。

ところで、地元の同窓会に行くたびに、離婚率高いなと思うのですが、みなさんはいかがでしょうか? 自分が小学生だった頃と比べて、離婚してる人たちが多くなってる気がしませんか?

シングルマザー、シングルファザー、ステップファミリー、そういう方々とリアルで出会うことも多いのでは? 読んでくださってる方が当事者かもな。

「親の離婚を不幸に感じている子どもの物語」って、そういう環境にいる人にとって読んでいて楽しいものなのでしょうか?

感動のための「不幸芸」のようにやたら当たるのも、「家族というピースさえそろってれば幸せ」神話の支持に加担して、離婚した友人たちへの差別の視線を投げかけているような気分の悪さを感じます。

BL小説って、どんなものだろうと読み始めてから、そんな居心地の悪さに悩まされてきましたが、解放されたとなった1冊を紹介します。

2010年刊行とずいぶん前の本になりますが、今読んでも新しさは消えない。

 

スリーピング・クール・ビューティ (ディアプラス文庫)

スリーピング・クール・ビューティ (ディアプラス文庫)

 

 まず、タイトルの『スリーピング・クール・ビューティ』とは誰かといえば、眠っている攻めの灰音のことで、作中でも受けの悠莉の眼差しの先に出てくる。

BL小説で受けは語りはするが、見る行為は誰がしているのか、不明瞭になる場合もある。積極的に見ている受けの視線がタイトルである。が、エロが特徴的な鳥谷しずの作品において、受けの赤い恥毛がメインである。

 

受けの悠莉は母子家庭の長男であり、インターナショナルスクールに通う妹の学費を負担しようとしたり、弁当屋を営み2人の子どもを育てる母親へ給与を渡そうとする家族想いの面が強調される。

父親は腕の良い料理人で、フランス料理店を経営していたが、友人の借金の保証人になり、その後にいろいろ自棄になって飲酒しながら階段を登っていたら、転倒して死亡してしまってから、一家は苦労することになるのだが、ここで嘆き悲しんで世の中に恨みつらみをぶつけるようなキャラクターではなく、「父親は尊敬しているが、同じように騙されたらいけないから弁護士になる」と一直線に走っていくのが、悠莉という受けの新しいところでもある。

何よりも面白いのが、公安である灰音とくっついた後は家にこもって恥毛いじられ放題なのに不満を持っている悠莉が、妹から送られてくるテーマパークなどでのデートに嫉妬する部分である。

お兄ちゃんなんだから情けないと思っても暴走するロマンチック街道、妄想が止まらないお外で堂々とデート、妹への嫉妬。

恋を知ってしまった自分という制御できない見知らぬ他者と葛藤する受け悠莉という造形は、まだ新しいと感じる。恋した相手がどんなマニアックなプレイを仕掛けてきても、喜んでしまう自分に振り回されるのも、また面白いものです。

 

久しぶりに表紙を見たら、こっそり恥毛が見えてるんですね! 驚いたわー。

BL好きが『刀剣乱舞』をやってみたら異文化の十字路だった。

ゲームを始めてしまうと止まらなくなります。前回に刀剣乱舞を開始しましたよ、という記事を書いてから読んだBLは片手にとどまる程度。ひたすらプレイしていました。

やめられないとまらない。現在の戦績はこんな感じ。218日でどうなのか、自分でもわかりません。

f:id:paranoJP:20170124134827j:plain

はじめに与えられている刀剣を保存できる枠は50。そこまで刀剣が集まらないだろうと鼻で笑ったものでした。

人生で当てたものと言えば、あまり美味しくない料理店のお食事券1万円や6千円です。ハズレちゃったね、次は違う店に行けばいいのさなどと言いながらくじを引いたらこうなりました。デパートの福引きでハズレのティッシュを引いて鼻水を拭きたいと思っていたら、ハズレの景品が入浴剤だったということもありました。銭湯暮らしだった当時に入浴剤なんてどう使うんだ。

とりあえず、50振り以上の異なる刀剣が集まって、課金した時は嬉しかった。

あまり出ない刀剣をためています。

 

とりあえず、刀剣を擬人化した刀剣男士を集めて歴史修正主義者とひたすら戦うゲームです。

歴史修正主義って、普通に歴史の本を読んでいれば出てくる学術用語的なもの。かなり驚いた。

実際には土方歳三の戦死を阻んだりする司馬遼太郎好きが拗らせたような敵から、太平洋戦争を阻止する部隊や左翼など(この敵の名前が某国の与党に似ていて気まずい)が出てきます。愛国は右翼と書かないのか、なるほど。

れきししゅうせい‐しゅぎ〔レキシシウセイ‐〕【歴史修正主義

1 歴史に関する定説や通説を再検討し、新たな解釈を示すこと。
2 一般的な歴史認識とは異なる解釈を主張する人、またそうした言動を否定的にいう語。

コトバンクより引用。1の方に馴染みがありますが、ここ数年で2の方が増えてきたようです。悪しき歴史修正主義と言われてきた方が声が大きくなってきたことに対し、警戒しなくてはなりません。

ゲームでは歴史改竄主義じゃないかと疑問を持ちつつプレイしてます。

2017年は欧州の重要な選挙がある年です。新聞が読めるのか心配になる時もありますが、そこまで右翼と左翼でわーわー騒ぐことになることはないだろうと思いたい。

 

『刀剣乱舞』の攻略サイトは夢クラスタなどとの交差点だった。

クラスタとは、2次元の男性キャラクターなどと行為体の女性プレイヤーが恋愛をするという妄想に浸ったり、創作活動をする指向を持つ集団という説明でいいでしょうか? とりあえず、よりどりみどりの刀剣男士のうちから1人と恋愛するみたいです。ハーレムタイプの人もいるでしょうが、なかなかお目にかかれない。ハーレムタイプの人がどのようにプレイをしているのか、ちょっとプレイ日誌を見てみたい。

クラスタとの衝撃が1番よく出ていたのが亀甲貞宗の実装が発表されてから、実装された後の攻略サイトの記事です。

刀剣乱舞「亀甲貞宗」 ステータス・内番・台詞・回想・特レベルの情報【ネタバレ注意】 : 刀剣乱舞攻略速報【とうらぶ】

 記事についたコメントの150番代までが実装前、その後は実装後。荒れているあたりが刀剣男士との距離や感情について、何となくわかりやすいかもしれません。「ご主人様至上主義」というキーワードが問題になっています。

忠誠心か? 恋愛感情か? ご主人様とは誰か? そんなクラスタの違いがせめぎ合っています。

BL好きとしては、「ご主人様至上主義」のキーワードを全て恋愛に書き換えるのがすごいやと別世界を覗き見た感じです。

 

多分、少女文化について研究している学会にアクセスできれば、夢クラスタについての論文があるのかもしれません。

ネットスラングならお任せの辺りで。

夢主 とは【ピクシブ百科事典】 #pixpedia #pixiv https://t.co/gmTEaz3VaS

クラスタが「夢豚」と呼ばれたり、自ら名乗ったりする姿は、「腐女子」という言葉を取り巻く環境に似ているかもしれません。女が自分の思うままの欲望を語るとき、自虐的になり、叩かれるがままになるという姿だけが重なります。

 

ところで2次元にばかり金を落とす女はなぜ自らの性体験を語らせられるのか

10/26「2次元しか本気で愛せない女たち」まとめ:ねほりんぱほりんブログ

年越しで観ていた番組で2次元しか愛せない女たちというテーマが取り上げられていました。

ねほりんぱほりん - NHK

6本まとめて放送されたわけですが、偽装キラキラ女子などと比べて、自らの性体験について語らせられる比重の多いこと。3次元の体験だったのが、うへえとなったわけです。初対面のゲイに「どんなセックスするの?」と聞くようなものなのでしょうか?

 

いくら2次元の男性キャラクターが好きでもポスターにキスしたりしないので、別世界すぎて目ん玉をひんむきました。

BL好きにもポスターにキスをする人はいるでしょうが、その発想は無かった私には驚きばかりでした。そこだけ観る価値はあると思いました。

 

アメリカ選挙戦の間、ずっとゲームをしていました。ヒラリーが勝つと思っていました。トランプ勝利で驚き。

振り返ってみて、「公約を訴える、財源をいかに確保するか、どのようにやり遂げるか説明する」というような選挙演説できる方が選ばれ、ひたすら不安を煽ったりどのように公約を達成するのかわからない方は落選すると思っていました。感情に流されて投票する人は少ないだろうという思い込みは、アメリカの民主主義に幻想を持っていた自分に驚愕。

「腐女子」には3種類ある 乙女ゲーをプレイしていたらブチ切れて刀剣乱舞をはじめてしまった件

ここのところ、生活に大きな変化があり、精神的に疲れ果てていました。もう、心がバラバラっすよ、みたいな状態で、BLを求める感覚も動きませんでした。いろんな衝動でBLを求めるBL愛好家がいるでしょうが、私は自分の中に閉じ篭れる環境、静かな落ち着いた環境ではないと能動的に萌えを求められないようです。

そんなこんなでバタバタしていたら、熱中症で倒れました。意識をふっと失って倒れるという人生初の経験をしてしまいました。倒れてから1時間以上、水を与えられずに放置され、介護してくれてた人が近くでカップラーメンを食べ始め、そのにおいが臭くて吐き気を催しても口の中がカラカラでさらに意識が遠のいていったというなかなか貴重な体験しました。かかりつけの病院に行って、熱中症の診断結果が出てから、また2日ほど親がバタバタして、なぜか適切にスポーツ飲料などを補給させてもらえない状況になったり、なかなか恐怖に満ちた経験をしました。生まれて初めての熱中症、あんなに恐ろしいものだとは思わなかった。皆さんもお気をつけて。

倒れてからしばらく休もう、そう決めてから、何とか落ち着いてます。刀剣乱舞をプレイしすぎて適切な睡眠を取れず、スポーツ飲料が冷蔵庫にも無く、足首にこむら返りの恐怖を抱えていますが、落ち着いています。

腐女子」を名乗る人には3種類ある

乙女ゲーをプレイして10円ほど稼ぎました。ちょっとプレイして終わらせれば良かったのですが、ダラダラ引き伸ばしてしまったのが悪かった。乙女ゲーを茶化したような内容ではあったものの、「自分の心を削ってでも、攻略対象の機嫌を取らなければ、ゲームが進まない」という選択の数々で、もう何だかヘテロな世界に疲れ果て、衝動的に刀剣乱舞のアプリをダウンロードして男だらけの世界にほっとしてます。「ああ、私の居場所はここなんだ」的な安心感。「男のプライドを傷つけないように選択していく」という面倒くさいヘテロな世界から脱出することができました。

腐女子」という言葉は自虐的で好きではないのですが、それを使い続ける当事者とその周囲との関係性が何となくできてる状態なので、意に沿わないけど今回は使うしかあるまいという気分。女子っていうのが気に入らない。いつまで女子なんだ。幻想の大人の女がいるとしたら、女子であり続ける未成熟でいいもんな気分が多様な女のあり方を狭め続けます。

腐女子を名乗る人には3種類いるのだと思います。

  1. 男同士の恋愛を楽しむタイプ
  2. 男同士、女同士の恋愛を楽しむタイプ
  3. 男同士、女同士、ヘテロの恋愛を楽しむタイプ

女同士は読まないわ、という人もいるかな。あらま、4タイプだ。まあ、いいや。

私はガッツリ1です。男同士の恋愛であったり、作品に出てくる男の集団でその恋愛がどのように機能するのか眺めるのを好みます。

女同士は社会への問題提起とか入ってる作品が好み。女子高生で終わってしまう物語よりも、働いている女のイラつきとかを嗚咽しながら読みます。あんま見かけにけど。

ヘテロはそこらへんに転がっているので、避けることができずに、まあ仕方ないな、という状態。積極的に摂取したくはないが、余分な成分として避けることができないものなので、けっこう疲れる。

とりあえず、女が物語を求めるとき、男同士の恋愛が描かれているものを選択する場合、タイプを問わずに「腐女子」を名乗るという状態にあるのではないでしょうか?

腐女子」同士の定義もあったりで、なかなか面倒くさいのですが、考えてもらいたいところは、「男同士の恋愛を好む」と「腐女子」を名乗る傾向についてです。

BL好きに上下は無く、平等にいきましょう。

女が男同士の恋愛やエロスを求めることについて、自虐の先制パンチとして「腐女子です」と名乗る行為は、なぜ必要なのか。

女が好むエロス、恋愛の物語に男同士は含まれていないと当事者が内面化しているのでしょうか?

腐女子です。オススメの商業BLを教えてください」

この使い方は、BL好きとBLについて語り合うことができる、BL好きの私に安心感を与えてくれる、「腐女子」という言葉に少々の嫌悪感を抱かせつつ、BLを単なる興味や嘲笑を目的としてはいないという機能があります。他のBL好きは、どう感じるかわかりません。

同じ趣味嗜好を持つ同士の記号として「腐女子」は機能するということです。

では、BL好きではない人たちに向けて「腐女子」を名乗る/名乗らされる場面にどのような権力構造があるのでしょうか?

大学の卒論を書いてから何年も経ってから、「やおい少女」を名乗るのも自虐だと誰かが書いていたが、「腐女子」でも同じことを繰り返すのは、どんなスティグマなんだろうとぼんやり考えようかと思うのですが、これって無意味な「腐女子」論になるので、種をまくだけにしてしまおう。

女の欲望に自己投影をする同性が居ない物語、男同士の物語、男同士のエロスが含まれる物語が存在することがわかった現在、まあそんなこともあるんだなでは済まずに「腐女子」と名前を与えられる/受け入れる構図って何なんだろう?

女の百合好きは、どのように男の百合好きに受け入れられたり、交流したりしているのだろうという興味はあります。比較してみれば、何が見えてくるのだろう?

そんなわけで、刀剣乱舞のメンテナンスだから、久しぶりに何か書こうと思ったけれど、BLを読める状態ではなかったことと、とあるBL好きのシスヘテロが乙女ゲーをプレイしたら、刀剣乱舞に逃避したという経緯から考えついたことを長々と書きましたが、一番文字数を使ったのは初めての熱中症についてだったかもしれない。

刀剣乱舞Pocketです。メンテナンス前の戦歴。蛍丸さんが来ないで、打刀だけがフルコンプされました。フルコンプしたのは、ずいぶん前に感じる。 

f:id:paranoJP:20160713001526p:image

f:id:paranoJP:20160713001348p:image

最近、Gガンダムのセリフをえんえんと叫びまくることがあったので、審神者名は兄貴です。兄貴と叫びたくなる暑苦しさなので。

審神者は男か女かの論争を、すごく前にTwitterで見かけたので、そんなに審神者が重要なら男にしなければ、と兄貴にしたのですが、10年以上前にネットゲームで「私、兄貴です。女ですよ」とチャットで何度も書いていたのを思い出しました。

思わぬところに萌えが落ちてるものの、二次創作に手を出す余裕もブログを書く余裕も、TwitterBrexit国民投票の行き先をチェックすることもなく、ひたすらゲームをいじり倒す時期です。

Brexit、3割がた予想通り。イギリスのEU離脱は当然なんだろうから、もっと離脱票が入るかと思ってました。EU議会やその他でむっちゃ暴れていたので、まあ、ナショナリズムとか関係なく、出て行くんだろうと思ったら、日本のテレビでは、残留だと思っていた専門家しか出ていなくて、あらまーとなりながら、ずっと刀剣乱舞を触ってました。どんな風にイギリスvsドイツ、フランスとのガチ対決していたのか、もう忘れてます。ふり返ろうにも、刀剣乱舞をいじりたい欲望に勝てない。

皆さんどうやってプレイと二次創作を両立させているの、と時間配分ができないだらしなさ全開です。

純粋に楽しいの、と今の状態を言うこともできるのですが、何も考えずにひたすらいじってる中毒者みたいな状況は、さすがに危険。熱中症を治すためのお昼寝もせずにひたすらいじり倒すのは、危険です。

目の手術をしてから、刺激の強いゲームはできないのですが、刀剣乱舞Pocketは目が痛くならないので、良かった。

オメガバースはSFかファンタジーか3 『さよなら恋人、またきて友だち (オメガバース プロジェクト コミックス)』yoha

オメガバースの世界で、大人のおもちゃとしてのバイブは、きっとアルファを連想させる商品が多いんだろうなあ。入ったら抜けない、アルファらしい絶倫と太さなど、ザ・アルファみたいなの。オメガのフェロモンを完全再現したパフュームなども、いろいろ売られていそうです。「オメガのフェロモンで恋をゲット!」そんな広告が雑誌とかに掲載されてるんだろうなと。いろいろ妄想していた時のBGMがこのユニットでした。

Anthologio - Omega Vibes

Anthologio - Omega Vibes

  • Omega Vibes
  • ワールド
  • ¥1600

The Digital Collection: Omega Vibes

The Digital Collection: Omega Vibes

  • Omega Vibes
  • エレクトロニック
  • ¥1600

海外の有料配信サイトでも揃わなかった楽曲が、アルバムに入ってる!

不思議の国の男子 (河出文庫)

不思議の国の男子 (河出文庫)

そんなことを考えるきっかけがこの本だっただけです。男子高校生が、雑誌をめくるたびに出てくる包茎の広告にわいわいガヤガヤお互いの悩みを語り合うシーンの多さが何とも言えん。男子高校生も大変なんだなー。

『さよなら恋人、またきて友だち (オメガバース プロジェクト コミックス)』yoha

BLには2つある。男の集団のマウンティングに性を使うものと、男2人の恋愛に問いを含ませるものだ。(CV:『ワールド・ディストラクション』のトッピー)

男子寮の玩具 (Dariaコミックス)

男子寮の玩具 (Dariaコミックス)

『男子寮の玩具』などは、だいたい支配者の攻め、モブ、底辺に落とされた受けという構造で1〜2巻まで話が進んでいました。
秩序を保つための生け贄として、性が利用されていました
『さよなら恋人、またきて友だち』は帯の「皆が妊娠させたい男子」という煽りの通り、季節外れにアルファのクラスに転入してきたオメガを取り合う壮絶な戦いが行われます。
転入してきたオメガには、初恋を実らせたいという目的があったのですが、周囲のアルファが勝手に発情して、秩序の破壊者という立場に置かれます。
オメガのフェロモンによって、アルファの兄にレイプされ堕胎を経験するなどの過去があり、ここでも家族の破壊者にもなるわけですが、群れから弾かれたのは兄です。
秩序の破壊者としての生き辛さを抱えたオメガと、アルファの集団をまとめようとする攻め。そして、協定ともいえる秩序を破壊したアルファへの制裁として攻めがとった手段がレイプです。ここでのレイプはマウンティングとしての意味があります。
集団というか、群れを制御するために性を制限したりはありますが、マウンティングとして性を利用するのは珍しい。
ベータの恋人が反撃にオメガの狩りを手引きしたり、かなりどろどろ。
他のアルファの言い分は、「攻めがものにはしないから」的な内容。
どうしようもないフェロモンで悩むのはオメガ、だって発情しちゃうんだもんというアルファ。攻めが制御できない理由が攻めの恋に対する踏ん切りの悪さ。
タイトルの意味は、オメガという得意な体質でも、普通の青春を楽しみたい、ただの発情と愛を取り違えた同性に脅かされる生活とはおさらばしたいという切実な思いが込められています。
アルファとオメガが織りなすラブストーリーを乱すのは、ベータでもあるというのは、興味深い。
何よりも、学園都市でありながら田舎(というか郊外の八王子)を思わせる舞台設定が、もしも世界がこうなっていたらという部分に説得力を与えます。

f:id:paranoJP:20160609235931j:image
ふゅーじょんぷろだくとのオメガバースプロジェクトには、コミックスの奥付部分に必ず参考文献が掲載されているのですね。
サイエンス・フィクションとしてオメガバースを押し出している感が満載です。
読書メーターで他のSFなBLに、SFは苦手と書いているBL好き多いのに、チャレンジャーだな、と思う反面、輸入されたジャンルとしてのオメガバースを強く意識させられます。
スタートレックスターウォーズなどでm/mを楽しんでいるスラッシャーの皆さんを感じるのでした。